はじめに – Scribeは「読む」と「書く」をどう変えるか
Kindle Scribeのレビューである。本記事では、Kindle Scribeの「電子書籍リーダー」としての機能と「ノート」としての機能、この2つの側面からレビューを行う。
比較対象として、電子書籍リーダーの「Kindle Oasis」、多機能タブレットの「iPad Air」、そしてアナログの「紙のノート」を取り上げ、それぞれの違いを明確にしていく。
なお、YouTube動画でも同じ内容を解説したので、動画版と合わせてご覧頂きたい。
電子書籍リーダーとしての比較(vs Oasis, vs iPad)
まず、電子書籍リーダーとしての性能を比較する。なお、筆者は漫画や雑誌を読まないため、あくまで「文字の本」を読む際のレビューである。
Scribe:大画面・単行本のような読書体験

Kindle Scribeの最大の特徴は、10.2インチという非常に大きな画面だ。これまで使用してきたKindle Oasisと比較すると表示面積が圧倒的に大きく、ページをめくる頻度が格段に少なくなった。操作速度も快適で、ページ送りの遅延などもほとんど感じない。
ただし、本体は重い。純正カバーをつけるとさらに重くなり、片手で持って読書をするのは現実的ではない。机や膝の上など、どこかに本体を安定させて置いて読むスタイルが基本となる。純正カバーには傾斜をつける機能があり、この点は評価できる。
Oasisが「文庫本」だとすれば、Scribeは「単行本」のような感覚である。
Oasis:片手・文庫本のような気軽さ

一方、Kindle Oasisは小型で片手でも持てる大きさが特徴だ。画面横には物理的なページめくりボタンが搭載されており、指の位置を変えることなく、軽い力でページを送ることができる。防水機能も備えており、場所を選ばず読書が可能だ。
Scribeを使った後にOasisを見ると、どうしても画面が小さいという印象は受ける。しかし、それは比較したからであり、Oasis単体でも読書には全く問題なかった。軽さ、ページ送りボタン、片手で持てる気軽さは、Oasisが持つ大きなメリットである。
iPad Air:クリアだが反射が難点

iPad Airはディスプレイが非常にクリアで、文字がくっきりと表示される点が特徴だ。しかし、液晶ディスプレイ特有の画面反射は避けられない。屋外の日光はもちろん、室内の照明も映り込んでしまい、読書に集中しにくい場面がある。
文字ではなく、漫画や雑誌を読む用途には非常に向いている端末だと思うが、読書の見やすさという点では、圧倒的にKindle端末に軍配が上がる。
読書機能の結論:用途で分かれる選択
電子書籍リーダーとして、ScribeとOasisのどちらが優れているか。正直なところ、現段階では結論が出ていない。
- Oasis:文庫本感覚の気軽さ、片手操作、ページめくりボタン。
- Scribe:大画面、机に置いてじっくり読むスタイル。
どちらも一長一短があり、状況に合わせて使い分けるのが良いのかもしれない。ただ、Kindle端末を2台も持つ必要はないため、後述するノート機能が搭載されているScribeを今後メインで使っていくことになりそうだ。
ノート機能としての比較(vs iPad, vs 紙)
次に、ノート機能について比較する。私がKindle Scribeを購入した最大の理由は、電子書籍リーダーとノート機能が融合している点にある。
Scribe:ストレスフリーな「書く喜び」

Scribeのプレミアムペンは非常に使いやすい。ペン先はソフトな素材で、本体の画面も紙のような独特の質感になっており、書いた時の音がほとんどしない。紙のノートとは違うが、それに近いスムーズな書き心地で、遅延もほとんど感じない。
軽いタッチで書けるこの感覚は「書く時の喜び」があり、ストレスがない。これは非常に気に入っている点だ。
また、ペン機能の切り替え(ペン、万年筆、鉛筆など)、ハイライト機能、ペンの後ろでの消しゴム機能も便利である。ノートのテンプレートも豊富で、気分転換をしながら新しい感覚でノートを取ることができる。
デジタルノートならではの「ページを無限に増やせる」「紙の無駄使いがない」といったメリットも大きい。
iPad Air:イラスト向きだが「書き心地」は難あり

iPad Airにももちろんノート機能はある。しかし、ペン先がプラスチックで画面も硬いガラスであるため、書くたびに「カツカツ」という音が鳴り、ストレスを感じる。書き心地もプラスチックとガラスが擦れる感覚で、決して良いとは言えない。
線がくっきり出るためイラストなどには向いていると思うが、文字を書くノートとして、私はこの機能(iPad)を全く使っていない。
紙のノート+万年筆:アナログの「最高」の書き心地

最後に、アナログの紙のノートと万年筆の組み合わせだ。私は無印良品の「フラットに開くノート」(A5サイズ、上質紙)を愛用している。
この上質紙と万年筆の組み合わせは非常に素晴らしく、ほぼ力を入れずに線を書くことができる。書き心地だけで言えば、これが「最高」だと断言できる。好きなインクの色を選んだり、インクの濃淡を楽しんだりできるのも、アナログならではの喜びだ。
ノート機能の結論:メインは「紙」、サブは「Scribe」
ノート機能の比較結果として、私の使い方は以下のように落ち着いた。
- メインノート:紙のノート(無印)+ 万年筆
- 理由:最高の書き心地と、アナログならではの喜び。
- サブノート:Kindle Scribe
- 理由:書き心地の品質も高く、気分転換や外出先でのノートとして最適。
Kindle Scribeのノート機能は非常に高品質だが、あくまで私のメインは「紙」である。Scribeはサブとして、あるいは気分転換として活用している。
結論:Scribeの立ち位置と私の使い方
Kindle Scribeは、電子書籍リーダーとしての大画面と、ノートとしての優れた書き心地が際立つ、極めて素晴らしいデバイスである。
唯一の欠点は、従来のKindle端末に比べて大型で重いことだ。この点において、Kindle Oasisの携帯性を好む人も多いだろう。
私自身、読書機能についてはScribeとOasisのどちらが良いかまだ結論を出せずにいる。ノート機能についても、メインはアナログの紙と万年筆であり、Scribeはサブという位置づけだ。
しかし、Scribeが持つ「大画面での読書」と「高品質なデジタルノート」という2つの強力な機能は、間違いなく魅力的である。このデバイスが、私の「読む」と「書く」のスタイルにどうフィットしていくか、今後も使い続けていきたい。


