私の住んでいる町の公立図書館は漫画本を収蔵している。
中学から高校にかけて、図書館の漫画本で読破したのは、手塚治虫、水木しげる、つげ義春、そして杉浦茂の4人だった。
図書館にあったのは、筑摩書房の『杉浦茂マンガ館』(全5巻)だった。最初に読んだのは、第5巻の『2901年宇宙の旅』だった。それから一気に杉浦茂のワンダーランドにハマり、『杉浦茂ワンダーランド』と『杉浦茂のちょっとタリない名作劇場』などを読み、『杉浦茂―自伝と回想』を読んだ。
とくに印象に残っているのは、最初に読んだ『杉浦茂マンガ館 第5巻』と第4巻に収録されている『猿飛佐助』だった。杉浦茂の独特なストーリー展開、ギャグ、絵のセンスがつまっていた。
「シュール」「ナンセンス」などと語られることの多い杉浦茂だが、私にとっては「癒し」であり素朴な感動を与えてくれる「エモーショナル」な敬愛すべき偉大な漫画家だ。
筑摩書房の『杉浦茂マンガ館』と『杉浦茂のちょっとタリない名作劇場』の広告を貼り付けておこう(クリックで拡大)。
杉浦茂の作品を読むには
杉浦茂の根強いファンは多い。特にアーティストや芸術家のなかには杉浦茂ファンがたくさんいることを知った。『杉浦茂マンガ館』の解説者も荒俣宏、糸井重里、細野晴臣、中沢新一、筒井康隆、横尾忠則、と錚々たる名前が連なる。
残念ながら『杉浦茂マンガ館』や他の杉浦茂の本はほとんどが絶版になってしまった。
ところが、最近の電子書籍ブームでごく一部だが、電子化されて復活の兆しがある。ぜひ電子書籍でもなんでもいいから、杉浦茂の作品を後世に伝えてほしいものだ。Amazonの電子書籍で現在刊行されている杉浦茂作品をリンクしておく。
杉浦茂作品との出会い
中学生から高校生だったころ、小説を読み始めるとともに美術の世界にも興味をもった。そんなある日、「専門書」エリアの美術書の棚の一角に漫画本があることを発見。だから、杉浦茂の作品は美術と小説のあいだの世界に存在している。
公立図書館だから漫画本の収蔵には慎重だったと思うが、小遣いの少ない青年がたのしむには十分なラインナップだった。杉浦茂の漫画を読むと、夏休みのにおいがする。
杉浦茂作品に出会えたのは、今考えると『杉浦茂マンガ館』を刊行した筑摩書房と、それを収蔵した地元の図書館のおかげであり、感謝するばかりだ。
最後に
杉浦茂を読んでからは、マンガをほとんど読んでいない。マンガよりも小説、音楽、映画にハマったこと、そしてなにより杉浦茂の印象が強烈すぎて、それ以降のマンガは物足りなかった。
最近ふと杉浦茂が読みたいなと思ったのでこの記事を書いた。今度は電子書籍で読んでみよう。
「ぽわあ」
「そんなまねはよしてちゃぶだい」
「トテチテター」
「さいですか…」
「ソノヨーヨ」
「えいめんどうなり」
「騒ぐな町人」