Macで動画編集ソフトを使っていると、最近Metalという言葉を目にする機会が増えた。
この記事ではAppleの新しいコンピュータグラフィックスAPIであるMetalに関して、Macを使った動画編集における影響の点からまとめてみたい。
Metalとは?
MetalとはAppleのOSで使用されるコンピュータグラフィックスAPIである。Appleは長らくOpenCLというAPIを提供してきたが、2018年6月のWWDCで、macOS Mojave以降ではOpenCLを非推奨と発表し、代替としてMetalを使うことを決定した。
MetalではGraphics Processing Unit(GPU)にほぼ直接にアクセスできるため、iOS、macOS、tvOS Appでグラフィックスと演算のポテンシャルを最大限に活かすことができます。
Metal – Apple Developer
Metalの機能としてAppleが掲げるのは以下となる。
- GPUでの演算によるエンコーディング
- レイトレーシングのさらなる高速化
- プロフェッショナル向けAppのためのMetal
- さらにシンプルになったGPUファミリー
- Metal Memory Debugger
- Metal対応のiOSシミュレータ
動画編集ソフトでのMetal採用
macOS Mojave以降ではOpenCLは非採用となったことにより、最近のアップデートで各動画編集ソフトウェアのMac版ではMetalがサポートされ、選択できるようになった。
Final Cut Pro
Appleが開発した動画編集ソフトであるため、Metalへの対応が一番進んでいる。
実際、Mac上での動画編集ソフトの処理スピードはFinal Cut Proが圧倒的に速い。Appleが開発したソフトウェアであり、ハードウェアやGPU、そしてMetalに最適化しているため、Metalの恩恵を一番受けるのはFinal Cut Proだ。
Metalは、レンダリング、リアルタイムエフェクト、書き出しといったグラフィックスのタスクを劇的に高速化します。ビデオエディターが15インチMacBook Proで作業をする場合、レンダリングパフォーマンスは最大20%スピーディーに。iMac Proを使えば最大35%速くなります1。さらに、eGPUが接続されたシステムで作業をしている時は、内蔵と外付けのどちらのGPUを使うかを選べるので、最も高いパフォーマンスを活用できます。
Final Cut Pro – Apple(日本)
DaVinci Resolve
次に、私が愛用する動画編集ソフトDaVinci ResolveのMetal対応について。こちらもMetalに対応しており、環境設定画面からMetalを選択できる。
環境設定>メモリー&GPU>GPUコンフィギュレーション>GPU処理モード。
いくつかのベンチマーク結果を見てみたが、まだDaVinci ResolveではOpenCLの方が処理が早いようだ。
Metalは採用しているものの、Appleほど最適化が進んでいないようだ。
Adobe Premiere
最後はAdobe Premiere。こちらもMetalを採用しているが、最適化は進んでおらずOpenCLを選択した方が、現段階では良い結果が得られるようだ。
まとめ
Appleの新しいグラフィックエンジンMetalを使うことで、Macの動画編集ソフトの処理速度が速くなる。
特にFinal Cut ProユーザーはMetalの恩恵をいち早く受けることができる。
また、Macユーザーであれば、Appleが開発した動画編集ソフトウェアであり、こうした最新の技術を取り入れ、最適化しているため、Final Cut Proを積極的に選ぶ理由にもなるだろう。
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