歴代MacBook ProのGPUの比較と解説【13/15/16インチ】

近年までパソコンのスペックはCPUを中心に語られることが多かった。

CPU(central processing unit、中央演算処理装置)はその名の通りコンピューターの中心的な演算処理を行うことは今も昔も変わらない。

しかし昨今の4K動画再生と編集、3Dゲーム、VRなどの需要が増えたこと、またCPUの開発・製造技術が成熟したことにより、パソコンに求められるスペックが変わってきたように思う。

つまり、CPUよりもGPU(Graphics Processing Unit、画像処理に特化した演算装置)が処理能力に影響する場面が増えてきた。

私はMacBook Proの13インチを使っているが、4K動画を編集する場合など、処理がもたつく場合が多くなってきた。

そこでこの機会に、歴代MacBook ProのGPUのスペックと処理速度についてまとめてみた。

2021年1月更新:AppleシリコンM1搭載の新MacBook Pro 13インチ発売により情報追記

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統合型とディスクリートGPUの違い

まず比較する前に、GPUには大きく統合型とディスクリートタイプの2つがあることを説明したい。

統合型とは、GPUがCPUに「統合」されているという意味。CPUのチップの一部としてGPUが載っていて、メモリもCPUのメモリを使う。MacBook Proでは13インチが統合型GPUを搭載している。

Intel社のIris、Iris Plus Graphicsを搭載している。

統合型はCPUと共有することで小型化、省電力、低コスト化を実現している。その分、ディスクリート型に比べてグラフィック処理が遅くなる。ちなみに、Mac miniや下位モデルのiMacも統合型GPUを搭載している。

ディスクリート型とは、CPUとは別にGPUチップが搭載されているものを指す。メモリもGPU専用のメモリがある。MacBook Proでいうと15インチと16インチがディスクリート型GPUを搭載している。

AMD社のRadeonシリーズが搭載されている。2014年までのMacBook Pro 15インチではNVIDIA社のGeForceシリーズを搭載していたが、近年はディスクリートGPUとしてはAMD社のRadeonシリーズが採用されてきた。

ディスクリート型ではCPUとは別に独立したGPUチップが搭載されているため、設置面積を必要とするが、圧倒的な画像処理ができる。上位のiMacやMac Proに搭載されている。

以上の2つのGPUの違いを理解すると、MacBook Proの13インチと15/16インチでは物理的な構成とスペックが大きく異なることが理解しやすくなる。

歴代MacBook ProのGPU比較

では2013年から最新のモデルまでのMacBook ProのGPUスペックを比較してみよう。

1行ごとに13インチと15インチを交互に表示してみた。スコアはG3Dの値を使っており、あくまで参考値としてみて頂きたい。

15インチ型は統合型GPUとディスクリート型GPUの2つを搭載しているが、メインとなるのはディスクリート型である。Macでは環境設定から「グラフィックスの自動切り替え」を選択することで、画像処理の負荷に合わせて統合型とディスクリート型が選択される仕組みになっている。

2021年1月更新:新AppleシリコンM1チップ搭載のMacBook Pro 13インチ発売

2020年に発売された13インチのMacBook Proには3つモデルがある。第8世代のCPUを積んだモデルと、第10世代のCPUを積んだモデル、そしてAppleシリコンM1チップ搭載のモデルだ。それぞれGPUはIntel Iris Plus Graphics 645、Intel Iris Plus Graphics、M1チップ内蔵の8コアGPUになっている。

第10世代CPUを積んだモデルのGPUはApple公式発表では「Intel Iris Plus Graphics」とだけ記載されている。海外の情報ではIntel Iris Plus Graphics G7であるとの意見が多いため採用。なおこの第10世代CPU+G7を積んだMacBook Pro 13インチは公称値で80%グラフィック性能が向上したとのこと。

そしてAppleシリコンM1チップの登場により、MacBook ProのGPUもIntelからApple自社開発に切り替わった。具体的には今までのCPU統合型と変わらず、M1チップに内蔵された8コアのGPUになっている。

今までのようにInterl開発のGPUとベンチマークして数値を比べることができなくなったが、各所から出るレビューを見る限り大幅に性能が向上していることがわかる。

外付けGPU(eGPU)について

MacBook Proの13インチをお持ちの方で、外付けでGPUに接続してGPU性能をパワーアップできないかとお考えの方がいるかと思う。もちろん、そういう方のためにeGPU(external GPU、外付けGPU)というものが存在する。

例えばApple Storeでも販売されているBlackMagic社のeGPUやSonnet社の小型のものがある。

Sonnet eGFX Breakaway Puck Radeon RX 560 External GPU
(税別54,000円)

これを見ると面白い。MacBook Proの15インチはRadeonのディスクリートGPUを搭載していることは先に見てきた通りだが、外付けGPUで実現しようとするとこれだけの大きさになってしまうのだ。

13インチのMacBook Pro(統合型GPU)と15インチのMacBook Pro(ディスクリート型GPU)では物理的にGPUの構造・性能が異なることがご理解いただけるだろう。

つまり、15インチMacBook Proはディスクリート型GPUを搭載するのに技術を用いていることが伺える。15インチMacBook Proの価値は、ディスクリートGPUの小型化にコストがかかっており、スペースも必要で筐体が大きくなる必然性があることが理解できよう。

まとめ

以上、13インチと15インチではGPUの構造がまったく異なっており、それがスペックの数値として実際の処理能力に影響することを理解いただけたと思う。

もし4K動画の編集や3DゲームをMacBook Proでやりたいと考えている方は、この比較を参考にして頂き、MacBook Pro選びに役立てて頂きたい。

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