『革命のファンファーレ』と『フリー』を一気読みした。
フリーミアムの成功例『革命のファンファーレ』
はじめにはっきりさせておきたい。『革命のファンファーレ』の元ネタはクリス・アンダーソンの『フリー』と『ロングテール』だ。
信用は金よりも重要とか、無料で公開して間口を広げ後で集金するというような戦略は、アンダーソンが語る「フリーミアム」だ。
フリーミアム(Freemium)とは、基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデルである。
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本書に、クラウドファンディングで1億円調達して、『えんとつ町のプペル』を無料公開して30万部売り上げた話がでてくる。まさに「フリーミアム」そのもの。
『革命のファンファーレ』のおもしろさは、ビジネスモデルを発明したことではなく、「フリーミアム」を使って実際に30万部売り上げたサクセスストーリーにある。
『えんとつ町のプペル』は実際にビジネスとして成功したわけだから、たしかに説得力がある。「フリーミアム」や「ロングテール」も具体例とあわせてわかりやすく説明されている。
『フリー』を読んだことがない人は、『革命のファンファーレ』から読むのもいい。
『フリー』は「巻末付録」が役に立つ
だけど、『革命のファンファーレ』よりもためになったのは、『フリー』の巻末付録だ。
『フリー』の巻末付録は3つある。
- 無料のルール――潤沢さに根ざした思考法の10原則
- フリーミアムの戦術
- フリーを利用した50のビジネスモデル
付録には「フリー」をどうやってお金に変えるかの具体例がたくさん書かれてある。
例えば、フリーミアムを利用する企業へのアドバイスとして、アンダーソンはいう。
ユーザー全体に対する有料ユーザーの割合は五パーセントを損益分岐点にすることだが、望ましい割合は一〇パーセントだ。
また付録2と3をもとに分類すると、『えんとつ町のプペル』は「機能制限」というビジネスモデルを用いた「フリーミアム」だということがわかる。利点と欠点もまとめてある。
『革命のファンファーレ』は成功例だが、もともと著名人だったから成功した部分が大きい。一般人や企業が参考にするには特殊すぎる。
『フリー』の巻末付録には具体的なビジネスモデル例が紹介されているため、一般的に役に立つのは『フリー』だといえる。
正直『フリー』の本編は正解すぎておもしろくなかった
予想外だったのは、『フリー』の本編がおもしろくなかったこと。今では「フリー」のサービスが普及したため、フリーの成り立ちや予測を語った本編は、正解すぎて逆に新鮮味がない。
出版された2009年にはまだ「予測」だったことが「現実」として当たり前になった。アンダーソンの考えがいかに正確だったか。
まとめ
- 『フリー』の巻末付録が役に立つ。
- 『革命のファンファーレ』は「フリー」を利用した成功談としておもしろい。
- これからも「フリーミアム」の時代がしばらく続きそうだ。